|
津(つ)に所用ができた。休暇に自費で行くなら、目的地は自分が行きたい場所にする。
公用なら、空いた時間に行ける範囲に限られる。が、短い時間内に、猛然と歩く必要もある。
今回は、土曜日は午前中、日曜日は朝10時までが自由時間。
夜行バス利用で、6:30に名古屋駅に到着する。
すぐに長島駅までの切符を買おうと思うが、自動券売機では、どうしても特急で桑名までしか買えない。
パチンコ台を探すように、辺りをウロウロするが、普通電車用の券売機がどうしても見つからない。
やむを得ず、JR全線の切符が買えるみどりの窓口に入室し、行列に並んでようやく用を足した。
切符は320円であった。
おそらく私は、トルカなどというプリペイドカードを購入するのが賢明だったかもしれないが、
名古屋という土地柄自体、何かが間違っている!と直感した。
名古屋駅6:42発。長島駅7:02着。
長島は、見渡す限り平坦な中州である。そして十分、名古屋市の通勤圏内。
だが、JR駅は、異常に簡素だ。ホームと看板と時刻表しかない。切符も売らない。
近くに近鉄の駅がある。こちらは、まだ、まともだ。券売機があるから。
私は、いまだJRの普通の券売機に遭遇しない。
東海圏全体が、何か間違っている!と直感した。
数日前、桑名市観光協会にメールでパンフレットの注文をした。
それを持参する予定だったが、郵便は到着せず、手ぶらで、ここにいる。
幸い、大きな案内地図があり、大きな道沿いのJAの建物を目印にすれば何とかなりそうだと解読し、
それらしい方向へ歩く。道が妙に曲がりくねっており、感覚的に適当に進むと、JAがあった。
7:16、「桑名市長島町・三重県立水郷公園」という、商店街の看板のようで、そうではないアーチを発見、
何しろ、散歩する母子があり、さりげなく接近し、道を問う。
「長島中学は?」アーチを右折「蓮生寺は?」アーチを左折。蓮生寺の方が近いようなので、そちらへ。
ここの山門は、長島城の移築城門なのだ。但し移築されたのは明治時代であり、つまり、江戸時代の長島城のそれであり、
長島一向一揆の時代のものではない。
瓦に城主・増山氏の家紋が残る。鳥が二羽、飛翔する図柄である。
朝の光線の加減で、内側からの方が見栄えがよく、しげしげ眺めていると、背中に視線を感じ、
振り返ると、普通人のように見える住職の姿が。
時間的にも不審人物と思われたかな、と思いながら、逃げるように立ち去る。時に、7:20。
アーチに戻ると、公民館風の建物の前に、現在の満潮位と、伊勢湾台風時の潮位が実物大の物差しで示される。
現在の満潮位じたい、身長と余り変わらないではないか。まさに海抜マイナス1メートルの世界だ。
堤防が決壊したら、町は沈む!が、歴史は物語る。潮が引けば、復興する事を。地球温暖化による水没化、それはありうる。
名古屋から電車で20分。さて、ここの住居を、貴方は幾らで購入するか?
母子に教えられた通り、アーチの右手を進むと、光岳寺という寺がある。徳川家康の母・伝通院の菩提寺で、
1649年、信州・小諸から転居。7:28。
境内に犬がたたずんでいるが、よく躾けられており、参拝のため近づいても吠えぬ。
既に堀の内なのか、小さな橋があり、直進し突き当たりを左折すると中学校のキャンパスが見えた。
遠回りに北方向に戻りながら近づくと、そちらは裏通用門のようで、
グランドとテニスコートの間の道を辿ると、
グランドの隅のフェンスが途切れ、朝日に映える良いアングルの校舎を捉える事ができた。
7:36。
なぜ校舎に注目するかというと、長島城の天守を模した飾りがあるのだ。
向かいは長島中部幼稚園、そして、南の辺を辿ると、隣接の長島中部小学校である。
大松があり、その北東方向の校舎は、本丸跡地のようだ。樹高約15メートル、胸高周囲2.8メートル。樹齢300年以上と推定され、
町指定天然記念物である。伊勢湾台風にも耐えた。
寛元3年(1245)藤原道家が長島城をこの地に初めて造り、ついで文明年間(1482)、伊勢国安濃郡長野の伊藤重晴が再建した。
元亀・天正の頃(1570-74)、一向衆がこの城において信長と交戦した。元禄15年(1702)、増山正弥(まさみつ)がこの城に移り、
明治4年の廃藩に至るまで、8代・175年間に及んだ。長島は、増山氏2万石の城下町なのであった。
上に掲載した正保絵図の東方の湾曲した堀は、おそらく現存のこの水路なのだろう。7:47。
小学校の正門前を北上すると、中学校の正門に連なる。ようやく城跡の四囲を一周した感がある。
さらに北進すると、何か中学校の行事があるのか、全生徒が続々集結しつつあり、
旅姿の私は、典型的「変なオジサン」として、みょうに目立った。7:52。
私は芭蕉ゆかりの大智院にも行くつもりだったが、悠々と迂回路を取りすぎて、時間が足りなくなった。
駅に戻りたいが、道が入り組んでて、右往左往していると、北岳寺付近の小さな橋に戻った。
橋側からは、とても公道と思えず、目にも入らなかった曲がり道に出たのである。
で、再びアーチまで戻ったが、駅と長島中学は、もっと簡単な近道があったかと思われる。
ともかく、国土地理院の地図くらい印刷してもってくべきだった。
8:05にJRと近鉄が同時に到着したようだ。目前にして乗りそびれる。
近鉄は、8:25発、JRは週末は、8:21発、僅差だが、JRにしよう。
やがて無闇に車両数の多い電車が来、券売機がないので、最後尾の車掌に、
「切符を買います」というと、他のお客を待たせる事になるから勘弁してくれ、の由。
走り出して、車掌は車内を先頭まで歩き、戻ってきたので、
「乗車証明をくれ」というと、そういうのもない、桑名で改札を出る時、乗った駅を告げて支払いすればよい、
というので、本当かとハラハラしながら、長良川・揖斐川を渡る。
8:25、桑名駅着、改札口で、「長島から」というと、すんなり「180円です」と。
ったく、どういうシステムなのか。JR東海は、論理が破綻している!と直感した。(つづく)
|