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敦賀駅で私は下車するのをやめた。北陸の雨の影響で少しづつ電車が遅れているようである。
乗り換える度に、今度はいつ来るのか、やきもきしないといけない。
また、敦賀市内で豪雨に逢わぬとも限らない。
なので、この日の宿泊予定地である福井まで直行する事にした。
しかし敦賀駅では、遅れた特急の待ち合わせのため、延々と停車した。
最初から出発は何分、と決めておいてくれれば、駅周辺の散歩もできるのだが。
元々敦賀駅は13分の停車が予定されており、福井駅着は、19時53分のはずであったが、
まあ、結果的には20時10分過ぎに着いたのだ。
それはよいが、着いたら大雨である。
敦賀でヨーロッパ軒のソースかつ丼を食べそこねた私は、
アーケードのある商店街のロッテリアで用を済ませた。
ホテルはエースイン福井というが、さて何処にあるのやら。
地図はパソコンの中だが、福井に到着する手前でバッテリがあがってしまい、見れなくなった。
が、地図のイメージは頭の中にある。
イメージはあるが、現実の風景と合わない。
ウロウロした挙句、空間認識力が麻痺してきたので、止まっている空車のタクシーに
「エースイン福井まで」というと、そのホテルは目の前ですよ、と言われた。
部屋のすぐ近くにコイン・ランドリーがある。「凄いな、各階にコイン・ランドリがあるとは」
洗剤50円が別売り…「そうだ…ムフフ」
私は洗剤だけ買って、ホテルの浴槽の底に浅くお湯を入れ、そこに洗剤を入れて、
洗濯を行なった。濯ぎは洗面桶にお湯を入れ替え入れ替えしながら。
適当に絞って、コイン・ランドリの乾燥機へ。100円で30分。
取りに行くと、洗濯をしたい人が2、3人たむろしていた。
まだ十分かわいていなかったが、
洗濯の終わった若者が乾燥機の開くのを待っていたので、
一旦、そのまま持ち帰った。
その若者は、私に対し、何か気に入らない事があって物申したそうにしていたが、
こちらも気を使って引き上げるのだから、
文句を言われる筋合いはないと思った。
風呂に入ったり、ビールを飲んだりして、
寝る前にもう1回乾燥しておこうと、出かけていくと、
浴衣姿の女の子が椅子に座って漫画を読んでいる。
下着泥棒などを恐れ、乾燥が終わるまで張り付いているのだ。
コーナーの外では、先の若者がカゴ一杯に洗濯ものを入れて黙ってしゃがんでいる。
「やれやれ、遅くなるにつれ増えてきているな」
実は、ホテルに1箇所しかないコインランドリーが、
偶々私の部屋の近くにあっただけなのか。
インターネット検索をしたりして、も一度、コインランドリに行くと、
乾燥が終わって冷却に入っていたので、やれやれと思い、椅子に座って待っていたが、
そのうち、先の若者が別の若者を伴って現われ、先の若者が乾燥機から取り出すと同時に、
別の若者が洗濯機から乾燥機に洗濯物を移動しようとするではないか。
がっかりして帰りかけたが、ふと考えて引き返し、
「君、私は先に来て乾燥機が開くのを待っていたのだから、
私の方が乾燥機を先に使う権利があるではないか」
と別の若者にクレームをつけると、先の若者が洗濯物を取り出しながら苦笑し、
別の若者は、むっとして睨み返すので、
「私の云っている事に何か間違っているところがあるかね」
というと、
「こいつと俺は連れだ…で、俺は先に来て待っていた…で、時間が来て、連れを呼びに行った。
…呼びに行っている間に、アンタが来たんじゃないの?」
なるほど、苦し紛れに巧い事を言う。
「しょうがないな。じゃ、あと何分で用が終わるのか、教えてくれ」
「わからん」と相変わらず憮然と答えたが、私が諦めて引き上げようとしている事に気づいたのか、
「30分より早く取りにくるかもしれない」と、口調が穏やかになった。
私は不機嫌に立ち去ったが、いい加減に眠くなっていたので、朝方、出直した方が賢明だと思い直した。
また、思い返して見れば、先の若者は、
洗濯を始めた時、乾燥機はカラだったのに、洗濯が終わった時、上で乾燥機が回っていて不審に思ったのかも知れない。
要するに、洗濯機を使わず乾燥機だけ使ったので、一般の利用者のリズムがそこで乱れた可能性がある。
また別の若者も、私がどのくらい乾燥機の前で張り付いていたか知らないのに、
僅かな隙に私が来たと言っているのは、
苦し紛れではなく、正直に自分の立場を主張していたのかもしれない。
そのように考えると、腹も立たなくなり、そのままコトリと眠りに落ちた。
そして明朝13日、乾燥機は空いており、無事、洗濯を完了して、5時45分、チェックアウトした。
近くのローソンで朝食を購入し、駅に向かう道すがらに、北ノ庄城に立ち寄った。
今は、柴田神社になっており、3姉妹神社と言う祠もある。脇に資料館や運動公園がある。
また発掘された石垣跡などが史跡公園ふうに整備されている。
運動公園側から望むと、「越前北ノ庄城址」という石碑があり、碑文は平山郁夫画伯の筆である。
なお平山郁夫は、わが母校・SD学園の大先輩である。
賎が岳までは、秀吉サイドだが、ここはさすがに、柴田勝家の立場に立っている。
しかし、地元のヒーローが敗軍の将というのも、ほろ苦いものがあろう。
福井駅前は、何の工事か、厳重に囲われている。朝早く改札で青春18切符の2回目にスタンプを貰って、
私は何処へ向かおうと言うのか。それは、次回のお楽しみ。
(つづく)
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